最新のDJI Osmo Pocket 3ではなく、あえて初代を選ぶ。最小の動画論

手のひらに収まるDJI Osmo Pocket

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4K/120fps、1インチセンサー、鮮やかなログ撮影。

世の中のVlogカメラは、まるで「現実をすべて飲み込もうとする」かのように、際限のないスペック競争を続けています。しかし、高画質な機材を構え、設定に追われ、モニター越しに世界を見る時間は、果たして「体験」と呼べるのでしょうか。

私は、動画という「足し算」の執着を一度手放しました。

今は、Sigma fpで、静止した光と影を掬い取ることに没頭しています。それでもなお、私の防湿庫の隅には、2018年に発売された「初代DJI Osmo Pocket」が鎮座しています。

最新機種には到底及ばない画質。 しかし、この「ジンバル搭載しながら握りこぶしに収まる圧倒的な小ささ」だけは、どんな最新鋭のカメラも敵いません。

今回は、生産終了したこの旧型機を、なぜ2026年の今も私が手放さないのか。そして、もしあなたが今から「身軽な記録」を始めたいなら、何を選ぶのが正解なのか。

「引き算」の先に見えた、最小限の動画論をお話しします。

最新鋭「DJI Osmo Pocket 3」という怪物の影で

DJI Osmo Pocket オズモポケット ジンバル(3軸スタビライザー)

今、機動性の高い動画機として高い評価を得ているのは間違いなく DJI Osmo Pocket 3 です。1インチセンサーを搭載し、暗所にも強く、もはやこれ一台で仕事ができるレベルに達しています。

正直に言いましょう。「最高の画質」を求めるなら、迷わず Pocket 3 を買ってください。 初代との差は、もはや比較するのも酷なほど圧倒的です。

「引き算」の極致:初代にしかできないこと

では、なぜ私は最新型に買い替えず、あえてこの初代を手元に残しているのか。

それは、Pocket 3が失ってしまった**「究極の匿名性」**が初代にはあるからです。

  • 「持っている」ことすら忘れるサイズ感: Pocket 3は高性能ゆえに、少し大きく、重くなりました。対して初代は、文字通り「ポケットの僅かな隙間」に収まります。
  • 「撮っています感」のなさ: 古民家や静かなカフェで、大きな機材を出すのは野暮というもの。この消しゴムのようなサイズだからこそ、場の空気を壊さずに、その場の「静寂」ごと切り取れるのです。

【2026年版】あなたが選ぶべき「最小の動画機」はどっち?

読者の「痛み」に合わせて、以下の2つのルートを提示します。

求めるもの推奨する選択理由
失敗したくない。最高画質で残したいOsmo Pocket 3現時点での正解。これ一択です。
機材を「意識」したくない。安く始めたい初代 Osmo Pocket(中古)1〜2万円台で手に入る「没入」へのチケット。

「上を見ればキリがない。だが、下を見ればこれで十分だと言い切れる強さがある。」

私が動画を撮る機会を減らし、写真に専念できたのは、この小さな初代が「記録」という重荷を肩代わりしてくれたからです。

視界を「物理」で安定させる。3軸ジンバルの魔力

DJI Osmo Pocket オズモポケットで撮影

私が初代Osmo Pocketを愛し、今なお「捨てがたい」と感じる最大の理由は、この小さな筐体に物理的な「3軸スタビライザー」という精密機械が組み込まれていることに尽きます。

今のスマホや360度カメラにあるデジタル補正(水平ロック)も優秀です。しかし、レンズが物理的に動いて衝撃をいなす「ヌルヌルとした質感」は、デジタル処理では決して到達できない領域にあります。

特に、以下の3つのモードを使い分けることで、私の撮影は「作業」から「体験」へと変わりました。

  • チルト固定(水平の維持): 私の最も愛したモード。カメラをどう振っても視線は常に水平を保ち、正面を見据え続ける。360度カメラの水平ロックに近い安心感ですが、物理ジンバル特有の「滑らかさ」が加わります。「水平を気にしなくていい」という解放感は、私を歩くこと、景色を見ることに100%没入させてくれました。
  • フォロー(自然な視線): ハンドルの動きにワンテンポ遅れてカメラがついてくる。これは人間が何かを追いかける時の自然な視線移動に似ています。古民家の入り組んだ廊下を歩く際、このモードは「その場の空気の揺らぎ」をドラマチックに演出してくれました。
  • FPV(自由な躍動): ジンバルの制約を捨て、自分の意思をダイレクトに映像に反映させる。スムーズでありながらスピード感のある映像。ここぞという瞬間の「高揚感」を記録するのに最適でした。

「スペックで勝る最新スマホ」よりも「物理で勝る旧型ジンバル」の方が、私の感性には心地よかった。 これが、私が初代に拘泥した論理的な答えです。

思考を止めないための、スペックの「引き算」

DJI Osmo Pocket オズモポケット モニター&ジンバル部

「新しいものが、常に自分にとっての正解とは限らない」 その事実を視覚化するために、歴代モデルの主要スペックを並べました。数値で見ると、初代がいかに「極小」を突き詰めていたかが浮き彫りになります。

項目初代 Osmo PocketDJI Pocket 2DJI Osmo Pocket 3
重量約116g (最軽量)約117g約179g
サイズ121.9 × 28.6 × 36.9mm124.7 × 38.1 × 30mm139.7 × 42.2 × 33.5mm
センサー1/2.3インチ1/1.7インチ1インチ (最高画質)
モニター1.08インチ(固定)1.08インチ(固定)2.0インチ(回転式)
起動速度普通高速爆速
結論究極のミニマルバランス型プロ仕様の道具

この表から読み解く「選択の基準」

  • 「116g」という数字の意味: 初代と最新の「3」では、約60gもの差があります。これは卵1個分に相当します。ポケットに入れた時の「存在感のなさ」において、初代は今なお孤高の存在です。
  • 画質のトレードオフ: センサーサイズが大きくなるほど、暗所には強くなります。しかし、その代償として機材は大きく、重くなります。
  • 「3」の圧倒的進化: 起動速度と液晶モニターの視認性は「3」が圧倒しています。もしあなたが「撮ること」を仕事にするなら、迷わず「3」を選ぶべきです。

道具は、あなたの自由を奪っていないか?

多くの人が、スペックという名の「足し算」に疲れ果てています。 もし、あなたが「何かを撮らなければ」というプレッシャーで、目の前の景色を楽しめていないのなら、一度すべての機材を置いてみてください。

そして、どうしても何かを残したいと思ったときだけ、この「指先ほどのカメラ」を取り出す。

そんな**「贅沢な不便さ」**を楽しめる人にこそ、この初代Osmo Pocketは、2026年の今も最高の相棒であり続けるはずです。