車のDIY全塗装。3年経って辿り着いた「一つの答え」

セレナをDIY全塗装後のサイドアングル |車塗装

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「モノを大切にする」とは、すべてを自分の手で直すことだけを指すのではありません。

数年前、私は愛車を自分で塗り替えるという大きなDIYに挑戦しました。古民家に移り住み、「引き算の美学」を軸に暮らしを整えていた当時の私にとって、それは限られた条件の中での**「最適解」**だと思っていました。

しかし、数年経ち、車を乗り換えた今の私が辿り着いた結論は、少し意外なものでした。

「安く済ませることと、心が満たされることは、まったく別物だった」

この記事では、具体的な全塗装の工程ではなく、「DIYで済ませるべきこと」と「プロに委ねるべきこと」の境界線について、私の失敗談を含めて赤裸々にお話しします。

当時の私が「全塗装」を選んだ3つの合理

海辺の日産セレナをタカラ塗料で全塗装|車塗装

私が業者に頼まず、自分で塗ると決めたのには、当時の私なりの「正解」がありました。

  1. 経済的な合理性: 低価格な投資対効果の追求。
  2. 探究心: 「素人がどこまでやれるのか?」という技術的興味。
  3. DIYの醍醐味: 車も「暮らしの一部」としてリノベーションする楽しさ。

当時は、これこそが「無駄を省いた賢い選択」だと思っていました。

作業中の高揚感と、見落としていた「ノイズ」

セレナをDIY全塗装 養生後のフロント側|車塗装

真夏の古民家の庭。

全身汗だくになりながら、5日かけて養生と塗装を行いました。

スプレーガンから出る霧が、セレナのボディをマットなグレーに染めていく。

その瞬間は、これまでの「普通の車」が「自分だけの特別な道具」に変わっていくようなワクワク感がありました。

しかし、塗り終えて数ヶ月が経ち、日常が落ち着いた頃、少しずつ「ノイズ」が聞こえ始めたのです。

3年経って分かった、つや消し塗装の「影」

DIY塗装(特につや消し)には、メリットもあれば、当然デメリットもありました。

  • 愛着の摩耗: つや消しはアラを隠してくれますが、プロの塗装のような「深み」がありません。洗車をしても、あの鏡面のような輝きは戻ってこない。次第に、車を洗う回数が減っていきました。
  • 満足度の低下: 遠目には良くても、ふとした瞬間に目に入る塗装の質感の低さ。それが「自分の妥協の跡」に見えてしまい、次第に所有する喜びが薄れていったのです。
  • 時間の浪費という隠れたコスト: 水性塗料を選んだことで、私は**「二度と洗車機を使えない」**という制約を背負いました。大きなミニバンの手洗いは重労働です。効率を求めたはずが、3年間、大切な「時間」をメンテナンスに奪われ続けていたのです。
  • 本当のコスト: 浮いたお金で何を得たのか。逆に、失った「車への誇らしさ」はいくらだったのか。その計算が、数年かけて自分の中で書き換わっていきました。

「節約」と「美学」の境界線

マツダ MAZDA CX-5 KF系 社外ルーフレールバー&ルーフキャリア

今、私はCX-5に乗り換えていますが、もう自分で塗ることは考えていません。

それは、DIYを否定するからではなく、一つの教訓を得たからです。

「自分の毎日を支える大切な道具には、プロの技を借りてでも、最高に気に入った状態を維持すべきだ」

何でも自分でやることが「引き算」ではありません。

自分にとって「譲れない1割」を見極め、そこにはしっかりと投資をし、それ以外の思考を邪魔するノイズ(中途半端な仕上がりへの違和感など)を徹底的に排除する。

それが、この炎天下のDIYから私が学んだ、本当の意味での「引き算の美学」でした。

結論:一つの答え

セレナをDIY全塗装完成|車塗装

5日間、トータル29時間の疲労困憊した経験。

それは単に安く塗るための時間ではなく、「自分の納得の基準」を肌で知るための、避けては通れない儀式でした。

もしあなたが、「ボロ車を延命させたい」「プロセス自体を楽しみたい」のであれば、DIY塗装は間違いなく一つの正解です。

しかし、今の私ならこう言います。

「妥協のない愛着を求めるなら、プロの仕事に投資する。それが、本当の意味での『最適解』だ」

本当の「引き算の美学」とは、単に安く済ませることではなく、納得感のあるものだけを残し、妥協というノイズを生活から消していくこと。

この苦い経験が、今の私の「モノ選びの基準」を、より強固なものにしてくれました。